時制の全体像 ― 12の時制を「時間軸 × 状態」の表で一気に整理

英語の12時制を、3つの時間(過去・現在・未来)と4つの状態(基本・進行・完了・完了進行)の組み合わせで俯瞰する。各時制の役割と使い所を例文で総整理。

「現在完了形と過去形は何が違うの?」「未来完了進行形っていつ使うの?」― 時制は英文法の中でも、日本語話者がもっともつまずきやすい分野です。日本語の動詞は「行く/行った」の2択で時間を表しますが、英語は時間軸と状態(アスペクト)を別の軸として組み合わせるため、合計で 12 個の時制が生まれます。

この記事では、個別の時制を深掘りする前に、まず 全体像の地図 を描きます。12 個の時制を「3 つの時間 × 4 つのアスペクト」のマトリクスとして捉え直し、それぞれの立ち位置を 1 本の線でつなぎます。仕組みが見えてしまえば、あとは各時制の細部を埋めていくだけです。

時制は「時間の軸」ではなく「時間 × 状態」で決まる

日本語では、動詞の時間を「〜る/〜た」という語尾の変化で表します。過去か、過去でないか、の 2 択です。一方、英語の時制はもう一段複雑で、いつ起きたか(時間軸)どんな状態か(アスペクト) を別の軸として組み合わせます。

  • 時間軸: 過去 / 現在 / 未来 (3 つ)
  • アスペクト: 基本 / 進行 / 完了 / 完了進行 (4 つ)

3 × 4 = 12。これが英語の 12 時制の正体です。「現在完了進行形」と聞いて身構えてしまうのは、名前が長いからに過ぎません。「現在」という時間に「完了進行」というアスペクトを組み合わせただけと捉えれば、仕組みはとてもシンプルになります。

✓ 覚えておきたいポイント

英語の時制は 時間(過去・現在・未来の 3 つ)× アスペクト(基本・進行・完了・完了進行の 4 つ) の掛け算で合計 12 通り。12 個を別々に暗記するのではなく、マトリクスの座標として捉えるのが最短ルート。

まずは全体像として、12 時制を 1 枚のマトリクスにまとめた早見表を見てみましょう。各セルには 時制の名称文法の形日本語訳時間軸の図解 を並べました。

過去
現在
未来
基本
過去形
V-edした現在×
現在形
V / V-sする現在××
未来形
will + Vするつもりだ現在×
進行
過去進行形
was/were + V-ingしていた現在
現在進行形
be + V-ingしている現在
未来進行形
will + be + V-ingしているだろう現在
完了
過去完了形
had + V-enしていた(それ以前に)現在×
現在完了形
have + V-enしたことがある現在
未来完了形
will + have + V-enしてしまっているだろう現在×
完了進行
過去完了進行形
had + been + V-ingずっとしていた現在
現在完了進行形
have + been + V-ingずっとしている現在
未来完了進行形
will + have + been + V-ingずっとしていることになる現在

V は動詞の原形、V-ing は現在分詞、V-en は過去分詞、V-ed は過去形を表します。各セルの図解では、黒い縦棒 が「現在」、青い × / 波線 / 矢印 が動作のタイミング、ピンクの縦棒 は過去/未来の 基準点(「〜までに」) を表します。基本は × (一点)、進行は 〜 (波線)、完了・完了進行は → (期間) という視覚的パターンに注目してください。

この表の横軸(時間)と縦軸(アスペクト)を、このあと順番に読み解いていきます。記事の後半で具体的な動詞 play を当てはめた表を再掲しますので、ここでは「12 個が 3 × 4 のマス目に整理される」という枠組みだけ頭に入れておいてください。

時間軸の3区分 ― 過去・現在・未来

まずは横軸(時間軸)から見ていきましょう。同じ動詞 play を使って、時間だけを変えてみます。

I played tennis yesterday.

私は昨日テニスをした。

I play tennis every weekend.

私は毎週末テニスをする。

I will play tennis tomorrow.

私は明日テニスをするつもりだ。

この 3 文は、動詞の形(played / play / will play)と、時を表す副詞(yesterday / every weekend / tomorrow)が変わっているだけで、構造は同じ S + V + O + M です。時間軸は「いつの出来事か」を指定するもので、動詞の形と副詞の組み合わせ で表現されます。

時間軸代表的な動詞の形よく使う副詞
過去played(過去形)yesterday, last week, ago
現在play / plays(現在形)every day, usually, now
未来will playtomorrow, next week, soon

なお、未来を表す表現には will のほかに be going to もあり、微妙にニュアンスが違います。その使い分けは別記事で扱います。ここでは「未来 = will + 動詞の原形」の代表形で押さえておけば十分です。

📘 もう一歩踏み込むと ― 「未来時制」をめぐる議論

厳密にいうと、英語には play → played のような 動詞の語形変化(屈折)による未来時制は存在しませんwill法助動詞(modal auxiliary) の一つで、未来だけでなく「意志」「推量」「習性」なども表します。そのため英語学、特に記述文法の分野では 「未来時制」を独立した時制として立てない立場(時制は「過去」と「非過去」の 2 つだけとする考え方)もあります。本記事では学習の便宜上「未来形」という呼称を使っていますが、より専門的な文献に進むと別の分類に出会うことがある、と頭の片隅に置いておくと混乱を防げます。

アスペクトの4区分 ― 基本・進行・完了・完了進行

次は縦軸(アスペクト)です。アスペクトとは、その行為が「どんな状態」にあるか を示すもの。同じ「現在」という時間の中でも、基本形なのか、進行中なのか、完了しているのか、継続しているのかで、動詞の形が変わります。

I read books every day.

私は毎日本を読む。

I am reading a book now.

私は今、本を読んでいる。

I have read three books this month.

私は今月 3 冊の本を読んだ。

I have been reading this book for two hours.

私はこの本を 2 時間読み続けている。

この 4 文はすべて「現在」の話ですが、意味する内容は大きく違います。

アスペクト基本の形(現在)意味
基本 (simple)read事実・習慣・反復(毎日読む)
進行 (progressive)am reading今まさに起きている途中(今読んでいる)
完了 (perfect)have readある時点までの結果・経験・継続(今月すでに 3 冊読んだ)
完了進行 (perfect progressive)have been readingある時点まで続いてきて今も続く(2 時間読み続けている)

ポイントは、どの時間軸(過去/現在/未来)にもこの 4 アスペクトが存在すること。進行形は現在だけでなく「過去進行形(was reading)」や「未来進行形(will be reading)」もあります。時間軸とアスペクトは独立した軸なので、掛け算で 12 通りになるわけです。

12時制の早見表

ここまでの話を 1 枚の表にまとめるとこうなります。

過去現在未来
基本played
プレイした
play
プレイする
will play
プレイするつもりだ
進行was/were playing
プレイしていた
am/is/are playing
プレイしている
will be playing
プレイしているだろう
完了had played
プレイしていた(それ以前に)
have/has played
プレイしたことがある
will have played
プレイし終えているだろう
完了進行had been playing
ずっとプレイしていた
have/has been playing
ずっとプレイしている
will have been playing
ずっとプレイしていることになる
✓ この 3 パターンだけ覚えれば 12 時制が作れる
  • 進行形: be 動詞 + 現在分詞(-ing) ― 時間軸に応じて be 動詞の形が変わる
  • 完了形: have + 過去分詞 ― 時間軸に応じて have の形が変わる(had / will have)
  • 完了進行形: have + been + 現在分詞 ― 完了形の延長線

Grammi の構文ハイライトでは、助動詞と主動詞を合わせた 動詞句全体 を V の色で示し、内部をクリックすると「助動詞」「現在分詞」「過去分詞」といった細かな働きが確認できます。本記事の各例文でもぜひ「構文ハイライトを見る」を押して、動詞句の中身がどう分解されているか見てみてください。

時制ごとの要点を例文で総ざらい

ここからは、12 時制を 1 つずつ例文で確認します。どの時制も、時間軸 × アスペクトの掛け算として捉えてください。

過去 × 4 アスペクト

過去形 ― 過去の事実を淡々と述べます。時を示す副詞(yesterday, last year など)と相性がよい時制です。

She visited Kyoto last year.

彼女は去年京都を訪れた。

過去進行形 ― 過去のある時点で進行中だった動作を表します。

She was watching TV at 9 p.m.

彼女は午後 9 時にテレビを見ていた。

過去完了形 ― 過去のある時点 よりさらに前 に起きたことを表します。「大過去」とも呼ばれ、2 つの過去の出来事の前後関係を示すときに使います。

The train had left when we arrived.

私たちが着いたとき、電車はすでに出発していた。

過去完了進行形 ― 過去のある時点まで継続していた動作を強調します。

She had been waiting for an hour before he came.

彼が来るまでに、彼女は 1 時間待ち続けていた。

現在 × 4 アスペクト

現在形 ― 習慣・能力・一般的な事実を表します。

She speaks three languages.

彼女は 3 か国語を話す。

現在進行形 ― 今この瞬間に進行中の動作を表します。

She is speaking on the phone.

彼女は電話で話している(最中だ)。

現在完了形 ― 過去に始まった出来事の「今の結果・経験・継続」を表します。「〜したことがある」「〜してしまった」の意味。

She has visited Kyoto twice.

彼女は京都を 2 回訪れたことがある。

現在完了進行形 ― 過去から今まで ずっと続いている 動作を強調します。「今も続いている」ニュアンスが鍵。

She has been studying Japanese for five years.

彼女は 5 年間日本語を勉強し続けている。

未来 × 4 アスペクト

未来形 ― これから起きる出来事や、その場で決めた意志を表します。

She will arrive tomorrow.

彼女は明日到着する。

未来進行形 ― 未来のある時点で進行中になっているであろう動作を表します。

She will be flying to Paris this time tomorrow.

彼女は明日の今ごろ、パリに向かって飛んでいるだろう。

未来完了形 ― 未来のある時点 までに 完了している予定の動作を表します。「by + 未来の時点」と相性がよい時制です。

She will have finished the report by Friday.

彼女は金曜日までにその報告書を書き終えているだろう。

未来完了進行形 ― 未来のある時点まで継続している予定の動作を表します。日常会話での使用頻度は低めですが、報告書などで見かけます。

By next year, she will have been working here for ten years.

来年で、彼女はここで 10 年間働き続けていることになる。

よくある誤解と落とし穴

落とし穴1: 「現在完了形 = 過去形」ではない

現在完了形は日本語訳が「〜した」となることが多く、過去形と混同されがちです。しかし英語では、「今も影響が残っているか」 で厳密に使い分けます。

× I have been to Paris yesterday.

have been は現在完了形で「今のこと(経験が残っている)」を表すため、yesterday のような「過去の一点」を示す副詞とは共存できません。「昨日」の話をしたいなら、過去形を使います。

I went to Paris yesterday.

私は昨日パリに行った。

「行ったことがある」という経験を伝えたいなら、副詞を外して現在完了形のままにします。

I have been to Paris.

私はパリに行ったことがある。

同じ「パリに行った」でも、視点が過去の一点か、今の経験かで時制が変わる ― これが現在完了形と過去形の決定的な違いです。
✓ 覚えておきたいポイント

現在完了形と過去形の違いは 「今も影響が残っているか」 の一点。過去の一点を指す副詞(yesterday, last week 等)は 現在完了形と共存できない

落とし穴2: 進行形にならない動詞がある

進行形は「今まさに起きている動作」を表しますが、動作ではなく状態を表す動詞(state verbs) は、原則として進行形にしません。

× I am knowing the answer.

know, believe, love, want, need, like, understand などは「状態」を表す動詞です。状態は進行中の動作ではなく 継続的な性質 なので、基本形のまま使います。

✓ 覚えておきたいポイント

state verbs(状態動詞)は原則として進行形にしない。 know / believe / love / want / need / like / understand など、「動作」ではなく「状態・性質」を表す動詞がこれに該当する。

I know the answer.

私は答えを知っている。

ただし近年では、感情を強調するために I'm loving it. のように口語で state verb を進行形にする例もあります。まずは「原則は基本形」と覚え、例外は応用として少しずつ慣れていけば大丈夫です。


まとめ

  • 英語の時制は 時間軸(過去・現在・未来)× アスペクト(基本・進行・完了・完了進行) の掛け算で 12 通り
  • 進行形は be + -ing、完了形は have + 過去分詞、完了進行形は have + been + -ing という共通ルール
  • 日本語訳が似ていても、今に影響が残るか で現在完了形と過去形を使い分ける
  • 進行形にならない 状態動詞 が存在する(know, love, believe など)

時制は名前の数こそ多いものの、軸は 2 つだけ。12 の時制を別々に暗記するのではなく、マトリクスの座標として覚えれば、必要な形はいつでも組み立てられます。あとは使用場面に慣れることで、自然に身についていきます。

実際の英文で試してみよう

気になる英文を Grammi に入力すると、構造を色分けして解析します。

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