「You should study.」「You must study.」「You may study.」― どれも "勉強する" は同じなのに、伝わるニュアンスはまったく違います。この「気持ちの違い」を生み出しているのが、英語の 助動詞 です。
助動詞は、動詞の前に 1 語置くだけで「〜すべき/〜しなければ/〜してもよい/〜かもしれない」と、話し手の許可・義務・推量・意志を動詞に乗せる道具。使える助動詞は全部で 9 個だけなので、1 枚の地図 として覚えてしまえば一生使える武器になります。
この記事では、can / could / may / might / must / should / will / would / shall の 9 個を核イメージで統一的に整理 し、「確信の強さ」という 1 本の軸で使い分けを一望できるようにします。訳語の暗記ではなく、動詞に乗せる "気持ち" の強さ で選べるようになるのがゴールです。
助動詞の共通ルール ― まず 4 つの形の約束事
助動詞は 9 個それぞれに意味の違いがありますが、使い方の形ルールは全員共通 です。まず最初に、この 4 つのルールを押さえておけば、あとは意味の違いだけ覚えればよくなります。
- 主語が何でも形は変わらない: he can ○ / he cans ×(三単現の s も付かない)
- 直後は必ず動詞の原形: He can play ○ / He can plays ×
- 否定は直後に not、疑問文は主語と倒置: He cannot / can't play. / Can he play?
- 2 つ重ねて使えない: He will can come ×(can を be able to に置換する)
助動詞を足すと、動詞はそのままでニュアンスだけが変わるのを確かめてみましょう。
He runs every morning.
彼は毎朝走る。
He should run every morning.
彼は毎朝走るべきだ。
intro-a はただの事実の描写。intro-b では should が run の前に入るだけで、「〜すべきだ」という 話し手の助言 が動詞に乗っています。runs → run と原形に戻している点もルールどおりですね。
9 個の助動詞を 1 枚の地図に
9 個の助動詞は、意味のカテゴリ(縦) と 確信・強さ(横) の 2 軸で整理すると一望できます。各セルの助動詞は、まさにそこに位置するニュアンスを持っています。
have to
will
同じ助動詞がカテゴリをまたいで登場するのは、根っこのコアイメージが 1 つだけだから。たとえば must は「逃げ道がない」というコアを持っていて、その感覚が義務にも推量にもそのまま乗ります。ここから各助動詞のコアを 1 つずつ見ていきましょう。
can / could ― 「潜在力の扉が開いている」

能力や条件が揃っていて、いつでも実行できる状態。扉が開いていて、必要ならそこを通り抜けられる感覚。過去形 could は「過去の能力」と「今の丁寧な依頼」の両方を担当する便利な使い回しの利く形。
主な使い方
- 能力・可能 — She can speak three languages.
- 過去の能力 — He could swim when he was five.
- 許可(日常的) — You can leave now.
- 丁寧な依頼 — Could you open the window?
- 強い推量の否定(can't) — He can't be serious.(〜のはずがない)
- 連結が必要な場面 — be able to で代替(will be able to / have been able to)
She can speak three languages.
彼女は 3 ヶ国語を話せる。
Could you open the window?
窓を開けてくれませんか?
may / might ― 「半分開いた扉」

起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。扉が半分だけ開いていて、どちらに転ぶかまだわからない感覚。might は may より さらに控えめ で、may の過去形ではなく「弱いバージョン」として覚えるとよい。
主な使い方
- 許可(フォーマル) — You may leave the room now.
- 推量(50% 程度) — She may be in her office.
- より弱い推量 — It might rain tonight.
- May I 〜?(改まった許可依頼) — May I come in?
You may leave the room now.
もう退室してよろしい。
It might rain tonight.
今夜は雨が降るかもしれない。
must ― 「逃げ道のない強い矢印」

それ以外ありえない、という強い断定。その一本道しかない、という矢印のイメージ。義務「〜しなければならない」と強い推量「〜に違いない」は、実は同じコアから生まれた兄弟用法。
主な使い方
- 強い義務 — You must wear a helmet here.
- 強い推量(確信度 95%〜) — He must be tired.
- 禁止(must not / mustn't) — You must not smoke here.
You must wear a helmet here.
ここではヘルメットを着用しなければならない。
He must be tired.
彼は疲れているに違いない。
- must: 話し手の主観的な判断。「(私は)〜すべきだと感じる」のニュアンス
- have to: 規則や状況など外部の事情。「〜せざるを得ない」のニュアンス
- 例: I must finish this.(自分で必要だと感じる)/ I have to finish this.(締切で終わらせざるを得ない)
should / ought to ― 「理想の道に戻す矢印」

本来そうあるべき、という方向を指さす感覚。must の「絶対」ほど強くなく、「普通に考えればこちらの道」という助言のイメージ。ought to は should とほぼ同義で ややフォーマル。
主な使い方
- 助言・提案 — You should see a doctor.
- 当然の推量 — The train should arrive soon.(時刻通りならそのはず)
- ought to(やや硬め) — We ought to respect our elders.
You should see a doctor.
医者に診てもらうべきだ。
We ought to respect our elders.
年長者は敬うべきだ。
will / would ― 「未来に向かう意志と、過去から見た未来」

これから起こす(起こる)ことへの強い矢印。話し手の意志、または客観的な未来の予測。would は will の過去形+控えめバージョン として、丁寧な依頼や仮定法で活躍する。
主な使い方(will)
- その場の決定 — I will call you tomorrow.
- 単純未来・予測 — It will be sunny tomorrow.
- 習慣・傾向 — He will often sit by the window.
- 強い拒否(否定) — The door won't open.
主な使い方(would)
- 丁寧な勧誘・依頼 — Would you like some tea?
- 過去から見た未来(時制の一致) — He said he would come.
- 仮定法の帰結 — I would help you if I could.
- used to と似た過去の習慣 — We would play in the park every summer.
I will call you tomorrow.
明日電話します。
Would you like some tea?
お茶はいかがですか?
shall ― 提案の定型

現代英語では Shall we 〜? / Shall I 〜? の 提案の定型 がほぼ全て。かつての意志未来や法律文書での用法は古風なので、初級者は この 2 パターンだけ 押さえれば十分。
主な使い方
- 提案(一緒にしようよ) — Shall we dance?
- 申し出(やりましょうか) — Shall I open the window?
Shall we dance?
踊りませんか?
推量の強さマップ ― どれくらい確信しているか
推量の助動詞は、確信度の軸に 1 列に並べると使い分けが見えてきます。左にいくほど話し手の確信は強く、右にいくほど「どうだろうね」という弱いニュアンスになります。
左ほど話し手の確信が強く、右ほど推量は弱くなる。% はあくまで感覚の目安。
同じ文 He ___ be at home. を、推量の強さが違う 3 つの助動詞で埋めてみましょう。文の形はほとんど変わっていないのに、話し手の 確信の度合い がまったく違って伝わります。
He must be at home.
彼は家にいるに違いない。
He may be at home.
彼は家にいるかもしれない。
He could be at home.
彼は家にいる可能性もある。
過去を振り返る ― 助動詞+have+Vpp
助動詞の直後に have + 過去分詞 を置くと、時制をぐっと過去にずらせます。「〜したに違いない」「〜すべきだった」のように、過去の出来事を今から振り返る 表現はすべてこの形で作ります。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| must have Vpp | 〜したに違いない(過去の強い推量) | He must have left already. |
| may / might have Vpp | 〜したかもしれない | She may have forgotten. |
| should have Vpp | 〜すべきだった(後悔) | I should have called you. |
| could have Vpp | 〜できたのに(機会を逃した) | We could have won. |
| would have Vpp | 〜したのに(仮定法の帰結) | I would have helped you. |
I should have studied harder.
もっと熱心に勉強しておくべきだった。
We could have won the game.
私たちは試合に勝てたのに(実際は勝てなかった)。
この形を使いこなせるようになると、「言いたかったけど言えなかった」「できたはずなのにできなかった」 といった、日本語でも微妙な感情をそのまま英語に乗せられるようになります。
準助動詞ミニ図鑑
助動詞に似ていて 2 語以上で助動詞のような役割を果たす 表現が数個あります。特に be able to は、助動詞を 2 つ重ねられない場面で必ず活躍する "助動詞の穴埋め" 役です。
| 表現 | コア | 使いどころ |
|---|---|---|
| have to | 外部の事情による義務 | 規則・状況で「〜せざるを得ない」。must より客観的。 |
| be able to | 能力(他の助動詞と連結可) | will be able to / have been able to など、助動詞を重ねたいときの逃げ道。 |
| had better | 強い忠告(しないとまずい) | 目上に使うと失礼になるので要注意。 |
| used to | 過去の習慣・状態(今は違う) | I used to live in Kyoto.(今は住んでいない) |
| need / dare | 否定・疑問で助動詞化する | You needn't worry. / Dare you say that? |
- must not(mustn't): 禁止「〜してはいけない」
- don't have to: 不要「〜する必要はない」
- 肯定文では must ≒ have to でも、否定文では 意味が真逆 になる最大の落とし穴
よくある NG 3 つ
最後に、初級者がやりがちなミスを 3 つだけ押さえておきましょう。どれも最初のセクションで確認した 共通ルール を忘れると発生する定番エラーです。
NG 1: 助動詞の後ろに -s や -ed を付ける
助動詞の直後は 必ず動詞の原形。三単現の s も過去形の -ed も付きません。主語が三人称単数でも、過去の話でも、原形は変わりません。
He can play tennis.
彼はテニスができる。
NG 2: 助動詞を 2 つ連続で並べる
will と can は連続できません。未来に能力の話をするなら、can を be able to に置き換えて連結します。同様に have と must も直接は繋げず、have to を使います。
He will be able to come.
彼は来られるだろう。
NG 3: must not を「〜しなくていい」の意味で使う
must not は「行ってはいけない」という 禁止。「行く必要がない」と言いたいときは don't have to を使います。肯定文では must と have to はほぼ同じ意味なのに、否定文になると意味が正反対になる要注意ペアです。
You don't have to go.
行く必要はない。
助動詞は、動詞に 1 語で "気持ち" を乗せる道具箱。9 個しかないので、訳語を個別に暗記するよりも、「許可・義務・推量・意志」の 4 カテゴリ × 確信の強さ という 1 枚の地図の座標として覚えるのが最短ルートです。
今回の 9 個を押さえたら、次は 仮定法(助動詞の過去形 would / could / might / should の応用)と 受動態(助動詞+be+Vpp)に進むと、表現の幅が一気に広がります。動詞の前に置く 1 語を自在に選べるようになれば、英語は "事実を述べるだけの言語" から "話し手の気持ちを乗せる言語" に変わります。
