「この場面は at? それとも in?」「over と above の違いは?」― 英語の前置詞は、日本語話者が最もつまずきやすいポイントのひとつです。原因は、前置詞ごとの訳語を暗記しようとしてもパターンが爆発してしまうから。
しかし実は、主要な前置詞はひとつひとつが固有の空間・関係のイメージを持っていて、その核イメージさえ掴めば、初めて見る表現でも直感で選べるようになります。
この記事では、英語で特に頻繁に登場する 25 個の前置詞 を 頻出度順 に並べ、1 つずつ「イメージ+核の解説+代表例文」のセットで紹介します。全体を一度通読すれば、日常の英文で出会う前置詞の 9 割はカバーできるはずです。
- 各前置詞の イメージ図 を 3 秒眺めて、視覚的に掴む
- 核の解説 を読んで、なぜその訳になるのかを納得する
- 例文 を読み上げボタンで音声再生し、自分でも声に出して定着させる
超頻出 TOP 5 ― 英文の骨格を作る
まずは英語で最も高頻度で使われる 5 つ。of / in / to / for / with は、名詞句や動詞句の骨格を支える「接着剤」として、1 ページの英文に平均 10〜20 回は登場します。
1. of ― 全体の一部・所属

A of B は「B から切り出された A」。全体 B の一部・属性として A がある感覚。所属・所有(the leg of the table)、部分(a cup of coffee)、同格(the city of Paris)など幅広く使われる最頻出の前置詞。
I drank a cup of coffee.
私はコーヒーを一杯飲んだ。
2. in ― 空間・範囲の内側

輪郭のある空間の内側 にいるイメージ。部屋・都市・国などの場所(in Tokyo)にも、月・年・季節などの期間(in July)にも同じ感覚で使える。状態・分野(in trouble / in business)にも広がる。
I live in Tokyo.
私は東京に住んでいる。
3. to ― 矢印の先・到達点

A → B。ある地点からもう一方の地点へ向かって到達するイメージ。場所(go to school)、相手(give it to him)、変化の結果(turn to ice)、比率(3 to 1)など「ベクトル」を持つ表現すべてに使える。
I go to school by bus.
私はバスで学校に通う。
4. for ― 目標・対象・利益

to が「到達」を意識するのに対し、for は 「向けて差し伸べる気持ち」 が核。目的(work for peace)、対象・受取人(a gift for you)、理由(thank you for ~)、期間の長さ(for 3 years)までカバーする。
This letter is for you.
この手紙はあなた宛です。
5. with ― 同伴・手段・付帯

2 つのものが セットで存在する イメージ。同伴(play with friends)、道具・手段(cut with a knife)、付帯状況(a girl with long hair)、感情の付帯(smile with joy)など、「A と B が一体化して見える」場面で使う。
I play tennis with my friend.
私は友達とテニスをする。
場所と手段 ― 世界を指し示す 5 つ
次の 5 つは「どこで」「何によって」を表す骨格。on / at / by / from / about は場所や起点、話題を指し示す要の前置詞です。
6. on ― 面への接触

面に触れている のが核。床の上だけでなく、壁(on the wall)や天井(on the ceiling)にも使える。曜日(on Monday)はカレンダーの 1 日分の面に「載る」感覚。進行中(on fire / on sale)の比喩にも発展する。
A picture is hanging on the wall.
絵が壁に掛かっている。
7. at ― ピンポイントの一点

地図に ピンを刺す ような狭い一点。場所(at the door / at Shibuya Station)、時刻(at 7:00)、対象(look at me / smile at him)など、視線や注意が集中する先を指す。
Look at the moon.
月を見て。
8. by ― そば・経由・手段

「すぐ横にくっついている」が核。位置(stand by me)、経路・手段(go by train)、受動の行為者(written by him)、期限(by Friday = 金曜のそばまでに)など、対象に寄り添う感覚で幅広く使われる。
The novel was written by Hemingway.
その小説はヘミングウェイによって書かれた。
9. from ― 起点・出発点

to と対になる前置詞。起点から離れていく 方向を示す。出身(come from Japan)、開始点(from 9:00)、材料の出所(made from milk)、差の比較基準(different from yours)など「スタート地点」に当たる語と組む。
I come from Japan.
私は日本の出身です。
10. about ― 周辺・話題

対象の 周囲をぐるりと囲む のが核。話題(talk about the movie)は「映画の周辺の話」、概数(about 20 people)は「20 のあたり」、ぶらぶら(walk about the town)は「街をぐるぐる」と、すべて同じイメージから派生する。
We talked about the movie.
私たちはその映画について話した。
比較・移動・順序 ― ダイナミックな 5 つ
静的な位置関係を越えて、変化・経路・順序を表す 5 つ。動きや関係性を描くときに頻出します。
11. as ― 役割・同一視

A = B と同一視するイメージ。資格・立場(work as a teacher)、機能(use it as a pillow)のほか、接続詞として「〜として/〜のとき」にも拡張する。核は「重ね合わせ」。
She works as a teacher.
彼女は教師として働いている。
12. into ― 外から内へ

in(内側)+ to(方向)。外から内への移動 が核。物理的な侵入(jump into the pool)、変化の到達(translate into English)、夢中(be into music)などに使う。静止の in との違いは「矢印が含まれる」こと。
He jumped into the pool.
彼はプールに飛び込んだ。
13. like ― 〜のような

「形が似ている」が核。比喩(run like a cheetah)、例示(like apples and oranges)、印象(It tastes like chicken.)などに使う。as との違いは、as が イコール なのに対し like は 近似。
He runs like a cheetah.
彼はチーターのように走る。
14. through ― 貫通する

空間・時間・プロセスを 最初から最後まで突き抜ける のが核。トンネルを通過(go through the tunnel)、経験(go through a hard time)、手段(learn through practice)もすべて「一本の線を貫く」イメージ。
The train goes through the tunnel.
その列車はトンネルを通り抜ける。
15. after ― 時間・順序の後

時間軸で後ろ に位置するのが核。時間(after lunch)、順序(after you)、追跡(run after the dog)まで、すべて「先行するものの背後を追う」感覚。接続詞としても使える(after he came)。
Let's meet after lunch.
昼食の後に会いましょう。
位置と範囲 ― 関係を描く 5 つ
物と物の立体的・時間的な関係を描く 5 つ。over / between / out of / against / during は、2 つ以上のものを比べたり挟んだりする場面で活躍します。
16. over ― 上方・超越・覆う

対象の 上を弧のように覆う のが核。真上に吊るす(a lamp over the table)、飛び越える(jump over the fence)、数量の超過(over 100 people)、期間をまたぐ(over the weekend)など「上+超える」の両方を表す。
A lamp hangs over the table.
ランプがテーブルの上に吊るされている。
17. between ― 2 つのあいだ

2 つのものに挟まれる 位置。場所(between A and B)、時間(between 9 and 10)、関係(a difference between X and Y)などに使う。3 つ以上なら通常 among を使うが、個々を意識するなら between も可。
She sits between Tom and Bob.
彼女はトムとボブの間に座る。
18. out of ― 内から外へ

into の反対。内側から外へ出る のが核。物理的に出る(walk out of the room)、状態から脱する(out of danger / out of stock)、分母・由来(9 out of 10 / made out of wood)など「箱から取り出す」感覚で広く使う。
He walked out of the room.
彼は部屋から出ていった。
19. against ― 接触・対抗

相手に 体重を掛けて寄り掛かる/押し返す のが核。物理的な接触(lean against the wall)、対抗(fight against the enemy)、反対(vote against the plan)、背景(against the blue sky)まで「接触しながら抵抗する」発想で繋がる。
A ladder leans against the wall.
はしごが壁に立てかけられている。
20. during ― 期間の内側

特定のイベント・期間の 最中 にいるイメージ。during the storm, during the meeting のように、イベント名 を取るのが特徴。for(期間の長さ)と違い、during は 特定の期間 を指す。
We stayed inside during the storm.
私たちは嵐の間ずっと屋内にいた。
その他の頻出 5 つ ― 仕上げの前置詞
使用頻度は TOP 20 に次ぐものの、日常英文では欠かせない 5 つ。核イメージを押さえておけば一気に表現が広がります。
21. without ― 欠如・不在

with(一緒にある)の反対。本来あるべきものが欠けている イメージ。coffee without sugar(砂糖なしコーヒー)、without you(あなたがいない状態)、without thinking(何も考えずに)のように、付帯の否定に使う。
I can't live without you.
君なしでは生きていけない。
22. before ― 時間の前

after の反対。時間軸・順序で前 に来る感覚。時間(before dinner)、順序(the day before the exam)、目前(stand before the judge)にも使える。接続詞として「〜する前に」の意でも頻出。
Wash your hands before dinner.
夕食の前に手を洗いなさい。
23. under ― 真下

真下・覆いの下 が核。物理的な位置(under the table)、支配下(under control)、数量の未満(under 20 years old)、進行中(under construction)など「下に収まる」感覚で広がる。
The cat is under the table.
猫はテーブルの下にいる。
24. around ― 周囲をぐるり

対象を 円のように取り囲む のが核。位置(gather around the fire)、移動(walk around the park)、概数(around 8 o'clock)、話題の周辺(centered around ~)などに使う。about より 物理的な円 の感覚が強い。
People gathered around the fire.
人々が焚き火の周りに集まった。
25. among ― 3 つ以上の中

between が 2 者の間を指すのに対し、among は 3 つ以上の集団の中に紛れる イメージ。among students(学生の間で)、among friends(友人たちの中で)のように、不特定多数に囲まれる感覚を表す。
She is popular among students.
彼女は学生たちの間で人気だ。
ひと目でわかる 25 個の前置詞イメージ
ここまで紹介した 25 個の前置詞を 1 枚のチャート にまとめました。記事を読み終わったあとの復習や、英文を読んでいて前置詞に迷ったときの辞書代わりに、ブックマークして繰り返し眺めてみてください。核イメージは反復して目に入れるほど脳に定着します。

学習のコツ ― イメージで選ぶ習慣を作る
25 個を一度に覚える必要はありません。英文を読むたびに、出会った前置詞のイメージを思い浮かべるクセをつけてください。そうすれば、辞書を引かずに意味を推測できる場面がどんどん増えていきます。
- 訳語ではなくイメージ で覚える(「〜で」ではなく「面に乗る」)
- 似た前置詞は 対比 して覚える(at ↔ in、to ↔ from、over ↔ under、into ↔ out of、with ↔ without、before ↔ after、between ↔ among)
- 慣用表現は 核イメージから派生した理由 を考えてみる(例: on fire = 炎の面に乗っている)
前置詞は、単語ではなく感覚のカードです。この記事の 25 枚を頭の中にストックしておけば、英文の中で前置詞に出会うたびに「あ、これは through の貫通イメージだな」と、瞬時に意味を組み立てられるようになります。最初はゆっくりでも、繰り返すほど確実に速くなります。ぜひ例文を何度も声に出しながら、イメージと英語と訳を結びつけてみてください。
